民間の教育ローンと国の教育ローンの2種類が、教育ローンとして大別することができます。特に国の教育ローンは日本政策金融公庫が融資するもので、低金利であり、そして返済期間も長いので、民間の教育ローンと比べても利用しやすいというメリットがあります。しかし、お金を借りるわけですから返済をしなければなりません。もし、国の教育ローンが返済できないとなるとどうなるのでしょうか?
国の教育ローン
国の教育ローンに関してですが、現在は日本政策金融公庫のみが行っています。以前は、郵便局などでも教育ローンをおこなっていたのですが、現在は日本政策金融公庫から融資のみが国の教育ローンとなっています。
国の教育ローンに関しては、世帯年収や所得が低くても利用することが可能です。また、利率が低いので進学を検討するには経済的に厳しいという家庭であっても、民間の教育ローンより安心して利用することが出来ます。
国の教育ローンの返済時の注意点
国の教育ローンの返済時の注意点として、決められた返済日に指定口座からお金を引落すことが出来ないと、融資の評価に影響を及ぼすという点です。
民間の金融機関の場合、その月に入金をすれば問題ないとされることもありますが、日本政策金融公庫の場合、指定期日に引落すことができなければ次回の融資に影響を及ぼします。
兄弟がいる場合、もしこのようなことが起こりますと、弟の進学時に国の教育ローンを利用することが出来なくなるというケースがありますので、注意をしましょう。
月々の返済が厳しいとき
さて、国の教育ローンに関してですが、返済日に関してかなりシビアであるのですが、もし、資金繰りが上手くいかず教育ローンが返済できなくなりそうなときはどうすればいいのでしょうか。
まずは、日本政策金融公庫に相談をすることをおすすめします。次に紹介する方法を利用する前に、日本政策金融公庫へ相談をして返済の期間のリスケジュール(条件変更)などの道があります。
日本政策金融公庫としても、回収不能になるよりは、リスケジュールに応じた方がメリットはありますので、積極的に相談に乗ってくれます。
個人再生を利用する
リスケジュールをしても返済が厳しい場合、債務整理をして解決するという方法があります。
債務整理には、4つの種類があります。
- 自己破産
- 個人再生
- 任意整理
- 特定調停
この中で、利用される機会が多いのが個人再生です。
個人再生に関しては住宅ローン特則というものがあり、マイホームに住み続けたいけれど住宅ローンの返済をはじめとした借金の返済が多くて生活できないという方が選択するケースが多くあります。
これを住宅ローン特則付きの個人再生を利用すると、住宅ローン以外の借金を減額することが出来るのです。そのため、マイホームを手放したくないけど借金を減らしたい方が利用します。
しかし、個人再生に関しては、利用すると問題が起こるケースがあるので紹介をします。
個人再生と国の教育ローン
個人再生は、住宅ローン以外の借金を大幅に減額して、原則3年以内に返済をしていくという手続きです。そして、大幅に減額した借金を返済しきってしまえば借金を完済したことになります。
つまり、返済することのできない教育ローンを大幅に減額することが可能な債務整理の方法です。
問題とは?
ただ、個人再生を利用する場合、再生計画案を裁判所に提出するのですが、その再生計画案に債権者が同意する必要があります。再生計画案を裁判所が許可をすれば個人再生となり、借金が減額されるのですが、債権者が許可をしなければ借金の減額が認められませんので個人再生はできません。
そして、日本政策金融公庫以前の国民生活金融公庫のときは、基本的に異議を申しでたので、個人再生は難航するパターンが一般的でした。ただ、日本政策金融公庫に代わった現在は、異議を申し立てることはありますが、以前と比較をすると異議を申し立てるケースは大幅に減りました。
もし、異議を申し立てられても、個人再生の「給与所得者等再生」を利用すれば、債権者の許可を必要とせずに個人再生を進めることが出来ます。
しかし、これらを利用した場合、信用情報機関のブラックリスト、および官報などに名前が載りますので、10年間は教育ローンをはじめとしたローン契約を結ぶことが不可能になる最終手段です。
まとめ
国の教育ローンに関しては、低所得者向けの教育ローンになるのですが、現在では国の教育ローンであっても返済をすることが出来ないというケースが多々あります。
そのような場合、日本政策金融公庫へまずは相談をしてリスケジュールをして、返済計画を見直すことをおすすめします。
それでも返済が不可能ならば、自己破産をはじめとした債務整理をすると借金を減額もしくはなくすことが可能です。ただ、マイホームを残して借金を減額する個人再生に関しては日本政策金融公庫が異議を申立てるケースがありますので、注意が必要です。
また、これらの手段を利用した場合、10年近く信用情報機関のブラックリストに載り、ローンを組むことができなくなります。このような手段を利用しないように返済シミュレーションは必ず行いましょう。